逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

(美鶴……さんのこと、男として好きなわけじゃ、ないのに……。)


 そうなのだ。
 それなのに沙耶は、打算で、美鶴との幸せを選んでもいいのかもしれないと、一瞬揺れてしまった。

 自分が持つことができなかった幸せな家族と、祝福された結婚を、夢見てしまったのだ。


(彼が王子様であろうとなかろうと、本気で私を好きだと言ってくれる美鶴さんに失礼だ……。恥ずかしい……。)


 そんな自責の念が沙耶の足を石のようにし、その場に釘付けにしてしまった。


「……沙耶」


 やや経って、突然声をかけられて、沙耶は驚いて顔を上げた。
 声のした方を振り返り、我が目を疑った。


「基……」


 なんとアパートの階段の下に、基が立っていたのだ。


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