逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 何も持たない沙耶であるが、母の絵と基がくれた手紙だけはいつも手元に置いておきたかったのだ。


「だったら明日にでも取りに行こう」
「うん、ごめんね……じゃなくて、ありがとう……」


 またここに昔のように母の肖像画を飾ることができる日が来るなんて、想像もしていなかった。

 本当に、夢のような話である。
 いや、やはり夢のような気がしてきた。

 沙耶は何度も瞬きをして、基を見上げた。


「基、本当にここに住んでいいの?」
「いいも何も、俺が住んでるマンションは、あれ全体が一応会社の借り上げってことになってるんだよな。勘当された身分で使うのもなんだし……じゃあ沙耶の部屋に住むかって考えると、なかなか素敵な部屋ではあるが、致命的にベッドが狭いし」
「えっ……」


 ベッドが狭いと言われて、確かに彼一人でシングルベッドからはみ出していたことを思い出したし、そこに色っぽい何かを感じて、一瞬息が止まりそうになった。



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