逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 さらさらと沙耶の黒髪が頬にかかる。

 そんな些細な刺激すら、まるで全身に媚薬を流し込まれるような興奮を覚えるのだ。

 そして侵入してきた小さな舌が、基の口の中をおずおずと這いまわり、基を味わっていく。


「沙耶……そろそろ……俺が君に触れても、いいんじゃないか?」


 けれど沙耶はゆっくりと首を振る。


「もう少し待って……ちょっと楽しくなってきたから」


 沙耶は基の体の上で、自身の長い髪を耳にかけながらにっこりと微笑むのだ。


「楽しくなってきた?」
「うん。基を見てると、ドキドキする……もう少し、こんな基を見ていたい」


(マジか。マジですか。)


 基の三十年において、こんなに忍耐を強いられた時間があっただろうか。いや、ない。

 沙耶の手が腰のあたりをゆっくりと撫でると、体が跳ねる。



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