逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「ああそうか。ここに来る理由が必要だったな」


 いきなり、デスクの上に置いてあるカップを持ち上げ、中身を高そうな絨毯の上にぶちまけたのである。


「これでいいだろ」


 そして基は真顔でデスクに寄りかかるようにして、両手を後ろ手に着く。


「ああっ!!」
「基様なんてことを!」


 沙耶と神尾が悲鳴をあげるのはほぼ同時だったが、それからの沙耶の反応は早かった。

 カートの中から使い古した、清潔なタオルをつかんで絨毯の上に乗せる。そしてコーヒーを吸い取らせると、また新しいタオルに変えて同じ作業を繰り返す。

 そしてきれいな水を絨毯にかけ、新しいタオルで叩き込む。


「あの、志倉さん。もう結構ですよ。あとは私がやりますから……」


 慌てたのは神尾だった。



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