逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「わわっ!?」


 いきなり抱きつかれてよろめく沙耶であるが、
「触るな抱きつくな」
後ろから基が手を伸ばし、沙耶から潤を引き剥がした。


「あっ、軽薄御曹司!!」
「指をさすな」


 だが、潤も負けてはいない。唇をへの字に曲げて基に突っかかっていく。


「もーっ、あんたさ、こっちの迷惑考えてよ、うちのお姫様さらって逃げるなんてことしてくれたから、てんやわんやだったよ! ボクも有給使ってこっちで事後処理に追われてるんだからね!」


 引き剥がされた潤は、不服そうに基を見上げて腕を組んだ。


「やっぱり大変だったの?」


 思わず悲壮感漂う沙耶であるが、
「こら、潤。大袈裟にしなさんな」
と、今日もビシッとスーツに身を固めたソルシエール社長の伊織が、二人の前に進み出た。



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