逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「大丈夫だよ。このことを知ってるのはそもそもあたしと潤だけだし、エールビルでの業務は、神尾さんがちゃんと引き継いで継続ってことにしてくれてるし、おまけに関連企業ビルの清掃業務までたーくさん、うちに委託してくれてね。口止料としては十分だよ、あっはっは!」
豪快に笑う伊織を見て、沙耶はホッと胸をなでおろした。
「でも……ご迷惑おかけしました。ごめんなさい」
深々と頭をさげる沙耶から、伊織は沙耶の腕の中のユニフォームを受け取りながら、顔を覗き込んだ。
「よかったね」
「えっ?」
「沙耶、誰にだって幸せになる権利があるんだよ」
「社長……」
思いやりに満ちた言葉に、じんわりと涙が浮かぶ。
(泣いちゃダメだ……!)
慌てて手の甲で涙を拭うと、基が沙耶の肩を抱き寄せ、頭を下げた。