逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「ありがとうございました」
「……基さん、沙耶のこと頼んだよ」
「はい」
「だけどこんなことになるなんてね。あたしはあんたの両親のことも知ってるから、ビックリしたし、なんていうか、親が親なら子も子だなって思うんだよ」
「え?」
沙耶が首をかしげると、基が苦笑いしてそれから軽くため息をついた。
「オヤジ……あの人も、元モデルだった母との結婚を反対されたんだと、聞いたことがある。当時はスキャンダルになったらしい」
「そうなんだ……」
あのおそろしく冷徹そうな社長に、そんな情熱的な一面があったとは、意外だった。
(そういえば常務室を出て行く時、基が三十年前がどうのって、そんなことを言っていたかも……。)
「ですがオヤジはオヤジ。俺は俺ですから」
基はさっぱりした顔でそう言うと
「落ち着いたらまた改めて伺います」
と丁寧に頭を下げ、ソルシエールを後にし、今度は沙耶のアパートへと向かった。