逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「何を持って行くんだ?」
「とりあえず、この絵と、基がくれた手紙」
「……俺の手紙?」
想像してなかった返事なのだろう。部屋の中をうろうろしながら荷物をまとめる沙耶を見て、玄関に立ったままの基は一瞬言葉を詰まらせた。
「取っていてくれたのか」
「……うん。嬉しかったから」
箱ごとキャンパスバッグに詰め、絵は布で巻いて腕に抱えて玄関に戻ると、待ち受けていた基に抱きしめられた。
「沙耶、ありがとう」
「ありがとうって?」
「沙耶が俺の手紙を取っていてくれたってわかって、すごく嬉しい」
そして基は、ぎゅうぎゅうと沙耶を抱きしめ、熱っぽくささやく。
「俺は沙耶がいてくれたらそれでいい。エール化粧品に未練はない。沙耶とのことを認めない家族だって、必要ないんだ」
「基……」
その言葉にチクリと、胸が痛んだ。