逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 それから鎌倉に戻った沙耶は、母の肖像画を玄関フロアに飾り、夕食の準備を始めた。
 その間、基は沙耶にべったりで一時も離れない。まるで大きな犬に懐かれているようであるが、沙耶はその距離の近さが嬉しい。


「沙耶、こんなに野菜を買って大丈夫だったのか? 重かっただろう」


 台所に山積みになった野菜を見て、沙耶の手を取り、手のひらを撫でる基が愛おしくてたまらなくなる。


(やっぱり基って優しい人……。)


「安い時はやっぱりいっぺんに買っちゃうのよね。でも慣れてるから平気よ」
「今度から俺が買い物に行く」


 おそろしく真面目に言われて、沙耶は玉ねぎを剥きながらふっと笑ってしまった。


「基、スーパーで買い物したことある?」
「ない」
「やっぱり」


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