逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「……ありがとう」
沙耶はなんとか笑顔を作り、上半身を起こした。
「本当に大丈夫なのか」
「うん……びっくりさせてごめんね。実はお母さんのこと思い出して、それで……泣いちゃった。でも悲しいことじゃないの。だから大丈夫」
ちゃんと本当のことを話して、沙耶は基に笑って見せた。
基は納得したようだ。ホッとして表情を緩める。
「お母さんのこと、思い出したのか」
「うん。とてもいい思い出だった」
「そうか」
基は手を伸ばし、親指で沙耶の頰を流れる涙を拭うと、そのままついばむようにキスをする。
「待っててくれ。水を持ってくるから」
基は立ち上がり、それからしばらくして水さしとグラスを手に持ち帰ってきた。