逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 そして広げたマットの向こうで、基が心配そうにチラッと沙耶を見下ろしている。


「えっと……くだらないけど、子供には大ウケすんだが」


 沙耶を純粋に気遣う、優しい目だ。

 そのあたたかい目を見た瞬間、沙耶は雷に打たれたかのような、衝撃を受けた。


(まさか、そんな……)


 心が平衡感覚を失う。

 ドキドキと鼓動が早くなり、息もうまくできなくなる。


「……なんで……」
「……沙耶?」
「知ってるわ、その手品、あのとき、私の王子様が……」


 母の思い出に触発されたのか、沙耶の記憶の扉が勢いよく開く。


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