逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 十歳の沙耶の誕生日に出会った王子様は、沙耶のお城で、忠実なビスケと一緒に雨宿りをすることになった。

 チェスをしたり、ジュースを飲んだり、お菓子を食べたりと楽しい時間を過ごしたのだが、雨が止むと彼は「そろそろ帰らなきゃいけない」と言い出したのだ。


 その言葉に、沙耶は驚いて泣いてしまった。


 普段はとてもいい子なのに、誕生日に一人になってしまうのが寂しくてたまらなくて、泣いてしまったのだ。

 そこで慌てた彼は、ポケットからハンカチを取り出して……沙耶の前にそれを広げて笑ったのだ。


「ほら、泣かないで。見てごらん。これはなんの変哲もない縦縞のハンカチだけど……」



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 ふわふわした髪と、猫のように輝く意志の強そうな大きな目。
 あの時の王子様が、基と重なる。



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