逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「私の十歳の誕生日……同じ手品を、この別荘のリビングで、見せてくれた男の子がいた……ビスケは美鶴さんの犬だったけど、基、あの日はたまたまあなたが散歩させていたのね……違う?」
「え……?」
基が目を丸くして、凍りつく。
「子供だった私はすごく驚いて、涙も引っ込んだの。そしたら王子様は……『また君が泣いているときに、見せてあげるよ』って、笑った……ねぇ、基。覚えてない?」
沙耶の涙に濡れた大きな目が、キラキラと輝きながら基を見つめる。
彼の優秀な頭脳が目まぐるしく回転し、そして幼い頃の思い出が入った綺麗な小箱を探し当て、開いた。
「ビスケは、美鶴の別荘で飼われていた犬だ……だけど犬好きの俺がいつも散歩させてて……ああ、でも」
基は周囲をキョロキョロを見回し、そして主寝室のバルコニーから見える景色をじっと見つめる。