逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
(まだ頭の中では【エンターテイナー】が響いてる。そして、悔しいことに、あの軽薄御曹司と踊ったワルツも……。)
考えたくないし思い出したくもないのに、基と踊ったあの時間が、強烈に沙耶の心に刻みつけられているのだ。
そして彼の広い胸の中に抱きしめられた時感じた、高揚感も……。
了解も得ずに勝手にキスしたことは本当に腹がたつし最低な男だと思っているのだが、同じ音楽に、リズムに合わせて踊った相手に、強烈な親近感を持つという感じはわからなくはない。
(だからお互いの熱を分け合いたくなる……あいつもそうだった? いやでもキスはない……。ない……絶対。)
一瞬受け入れそうになったような気がして、沙耶は心の中で慌ててそれを否定した。
「沙耶ちゃん、ご飯いかない? 俺もうペッコペコだよ」
「そうですね」
カジュアルな格好に戻った潤と、近所の居酒屋へと向かうことにした。