逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「沙耶ちゃんみたいな子、好きだなぁ」
「面白いって思ってるだけですよね」
「あ、バレた?」
「わかりますよ、そのくらい」


 沙耶はくすりと笑ってうずらの卵を口に運んだ。

 沙耶の目から見て潤はとても人懐っこい。
 だからと言って、人をすぐに自分のテリトリー内に入れるかというとそれは別問題だと、沙耶はこの数年の付き合いで分かっていた。


「ねぇ、沙耶ちゃん。男嫌いなのって昔から?」
「昔からっていうわけじゃないですよ。私にだって淡い初恋の経験くらいあります」
「えー、知りたい。聞かせてよ」


 人懐っこい小型犬のような可愛い目でじっと見つめられると、犬派の沙耶はつい構いたくなるのだ。

(子供の頃の話だからいいかな……。)


「まだ母が生きていた頃なんですけど……」


 沙耶の最も大事な思い出の扉が、今開かれようとしていた。


------
< 64 / 322 >

この作品をシェア

pagetop