逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 後ろにバタンと仰向きに倒れたところで、ワンッ!と、声がした。


「え?」


 打ち付けた背中をさすりながら体を起こすと、中庭に面したガラス戸を挟んだ向こうに、ゴールデンレトリバーが座っていた。

 中庭に飛びこんできた乱入者は、どうやらこの大型犬らしい。


「あら……どこから来たの?」

 
 沙耶は犬が好きだった。

 ニコニコしながらガラス戸を開け、犬を招き入れる。


「今日は私の誕生日なのよ。どうぞお入りになってくださいな」


 丁寧に話しかけると、ゴールデンはフサフサした尻尾を振りながら部屋の中に入ってきて、ソファの前にきちんと手を揃えて伏せをする。


「ふふっ、可愛い」


 沙耶は床にぺたんと座って、両手で背中を撫でる。

 毎日ブラッシングされているのだろう、毛はふわふわで日向の匂いがした。



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