逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
しばらくそうやって撫でていると、首輪の跡があるのに気付いた。
綺麗で人懐っこいゴールデンレトリバーである。どこかの家から脱走してきたに違いない。
「あなた、どこから来たの? ご主人様は心配していない?」
耳の下あたりをかいてやりながら問いかけると、
「……ビスケ! ビスケー!」
開け放ったガラス戸の外から声がした。
その声を聞いて、それまで伏せをしていたゴールデンがパッと立ち上がり、ワン!と吠えた。
「ビスケ!? お前どこにいるんだ!」
聞こえてくる声はどうやらこの犬の飼い主のようだ。
沙耶はビスケ(実にかわいい名前だと思った)に抱きついたまま、外に向けて叫んだ。