逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「えーっと、お邪魔します」
少年は周囲をキョロキョロと見回しながら、庭を突っ切ってまっすぐに沙耶とビスケのもとまでやってきた。
茂みを通り抜けたせいで、新緑の緑の葉まみれになった彼は、リードと首輪を持っていた。
ふわふわした髪と、猫のように輝く意志の強そうな大きな目。白い陶器のような肌が美しい。
(王子様だ……。)
着ているのはTシャツとチェックのシャツにダメージジーンズというごく普通の格好だが、沙耶の目には完全に、児童書の中の王子様にしか見えなかった。
「さ、ビスケ帰るぞ」
少年が呼びかけると同時に、ザーッと音がし始める。
「わっ、雨!?」