逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
それから四、五日の間、沙耶は困っていた。
考えておくと言った自分が悪いのだが、毎日午後三時に常務室に顔を出すと、基が期待に満ちた目で自分を見つめてくるのだ。
そして何も言わずに帰ろうとすると、明らかに気落ちしているのである。
そんな基の変化に気づかないふりをしている沙耶であるが、日に日に罪悪感がつのり、若干憂鬱になっていた。
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「それ、お預けされてる犬じゃん」
ソルシエール事務所にて、いつものように報告書を書いていると、仕事帰りの潤が伊織とお茶を飲んでいた。
二人になんとなくこの状況を話すと、開口一番に言われたのがこれである。
「そんなつもりなかったなんて言っちゃいけないよ。期待させた沙耶が悪いんだからね」
「沙耶ちゃん悪女だわー」
「犬……悪女……」