浅葱の桜
「ぅ……ぐっ」
口の端から溢れ出てくる水を乱雑に拭われると侍女はお盆を持って去っていく。
薬が変なところに入って思わず咽せる。
「ひめさま!?」
「ゴホゴホっ、大丈夫よ」
目に涙を浮かべるききの頭を撫でて落ち着かせる。
最近ではこれが当たり前になって来てるので大して驚くことでも無かった。
私がただのモノであったとしってからしばらく経った。
それからは素っ気なかった侍女たちの態度がさらに無機質に。
着替えもただ身を清めるだけのものになって、気遣いを見せる様子もない。
薬を飲まずに捨てているのかバレてからは粉末と水を混ぜたものを口の中に流し込まれるようになったのだ。
……ま、それは自業自得と言えなくもないから何も言わないけど。
それに比べてききは私の部屋にずっと居るようになった。
母親の所に居なくていいの? と聞きたい気もするがききにもききなりの事情があるのだ。
下手に突っ込まないほうが互いにとっていい事のはずだ。
「さ、もう遅いし寝ましょうか」
「はい!」
箪笥を開けたききは自分用の布団を敷き始める。それになおって私も自分の布団をしいた。
ききの柔らかい髪をすいてあげながらコクリと舟を漕ぎかけて……。