浅葱の桜
「沖田、さんっ……」
ここに来てはいけない。私は外に出ることも出来ない。
第一、周りは火に囲まれてしまっていて近づくことさえ厳しいんだ。
こんな中に来たら沖田さんまで焼け死んでしまう。
「美櫻!」
黙っていなければ。沖田さんまで巻き込む必要は無い。
足音が近づいているのがか細く聴こえた。
どうか通り過ぎて。
震える手を、口を私は必死に押さえた。
「そこ、だね。美櫻」
「ど……して」
扉の向こうに人影が写る。
何も言ってない、影も映るはずないのに。
「離れてて!」
言われた通りに離れたその直後に障子が叩き斬られその奥に髪から水を滴らせる沖田さんが見えた。
「ようやく見つけた」