浅葱の桜
即答する沖田さんの声に真っ先に浮かんだのは恐怖でもなんでもなく気恥しさだった。
何故!?
体の熱が高まって顔が火照る。
あ〜っ! 訳が分からない。
「佐久は新選組の隊士だ。連れ帰らないと土方さんにドヤされちゃうからさ」
退いてくれる? 気の抜けるような力のない声なのに、ゾクリと震えさせるだけの殺気をはらんでいた。
「小童ごときにこの俺を防ぐことができるのか?」
「斬る」
「答えになってねぇよ」
クックックと堪えきれない笑い声を漏らした才蔵は血のこびりついた刀を沖田さんに向けた。
残り数歩も踏み出せば互いの剣が届く距離にいる二人。
その緊迫する空気に私の心臓が早鐘を打つ。
全てを壊し尽くしかねない殺気がぶつかり合っていていた。
今戦えばどちらかが死ぬことぐらい戦いを知らない私でも分かる。
でもこれを止める術を私なんかが知る訳ない。
「いくよ?」