浅葱の桜



「はらり ひとしずくを零しながら 私は笑う 笑って桜の涙に抱かれるあなたを見送るの


一緒に過ごした時は楽しかった 笑って、泣いて、怒って


ねぇ、私たちはまた出会えるかな?


同じように笑いあおう。同じように泣いて、怒って。


私たちはここで待っているよ


だから、どうか––––」



「っ」



無理だ。これ以上歌えない。


これ以上は堪えられないから。


まだ笑えるうちに言いたいことを。



「みんなっ!」

「行ってらっしゃい!」



これで、いいよね。菊姉ぇ。


もう、引きずらないから。


ゴシゴシと涙を拭くと沖田さんの元へと駆け寄る。



「もう……いいの」

「はい。ありがとうございました」


少しだけ表情を和らげた沖田さんだったけど。


「っ、避けろ!」



突然そう叫んだ。



「え?」



事態を把握できないまま私は沖田さんの背中の奥に隠される。


< 18 / 128 >

この作品をシェア

pagetop