浅葱の桜
固まった沖田さん。そして、私の握っている着物を見て数瞬固まる。
「あ…………」
みるみる顔を赤くして、したかと思うと真っ青になった沖田さんは。
「〜〜〜〜〜〜!」
声にならない叫び声を上げて部屋から走り去ってしまった。
「ぐゔぅぅ……」
走り去った直後、土方さんに連れ戻された沖田さんは私から一番遠い場所に座り込んでいた。
「なんだ。女だという事を隠していたのか」
ふむふむと頷いた彼は永倉さん。永倉新八と名乗って、ここの二番組組長だと言った。
「しっかし、こいつが女だってのか〜? う〜ん。まぁ、粧し込んで、女物の着物を着てりゃあそれっぽくみえなくも……ないか?」
うっ……。そ、そんなに、女としての魅力がないか。
一応芸人として人の目を集める仕事をしてたんだけど。
でも、それも女としての美しさというより『女が刀を振るっている』という物珍しさだろうし。
それを考えると彼のいう事も間違っているとは思えない。
彼の名前は藤堂平助。八番隊の組長らしいけど、正直幼く見え過ぎてそうは見えないのが本音。
「本当はテメェらに知らせるつもりなんて無かったんだがな。新八に見破られたとあっちゃあ隠す理由もねぇしな」
腕を組んだ土方さんは捨てるように吐き捨てた。
「で〜? この子は何でここに置いとくんだ? 僕にはこれっぽっちもその真意が分からないんだけど」