浅葱の桜
沖田さんに連れられてきた場所は。
「あれ?」
「ここ、美味しいんだよ。特に……」
「みたらし、ですか?」
それを言うとギョッとした顔になった沖田さん。
「なんで知ってるの……かな」
「えっと……前に来てましたよね? 藤堂さんと一緒に」
「…………見回りが一緒だった時に」
「その時に私も居たんですよ。三月、くらいですかね? 私がここに来るすぐ前くらいに」
大食いのお姉さんと一緒に。と付け加えるとすぐにわかったようで。
「ああ……俺くらい食う人初めて見たから印象に残ってるよ。
あの人の連れね」
あんま覚えてなかったけど、と呟かれた独り言にぐさっと何かが突き刺さる。
店先に佇んでいる私たちを見て中から女性が出てきた。
「いらっしゃいませ〜。あれれ、沖田さん。女性の連れなんて珍しいですねぇ〜。
もしかして……彼女さん?」
「へ!?」
「んなわけないだろ」
「ですよね〜。で、今日は何本?」
「いつも通り」
いつも通りって、五十本? それしか思い浮かばなくて困る。
当たり前かのように店先の床机に座り込んだ沖田さんの隣に座る。
でも待っている間話す内容もなくて、なんだか気まずい。
話す内容、内容……。
「ねぇ。聞いてる、美櫻」
「…………!」
「その様子だと、聞いてない、ね」
「す、すいません」
「別に怒ってるわけじゃないよ」