浅葱の桜



「なんでそんなに驚いてるの」

「い、いや……」



まさか私の名前が美櫻だったってことをすっかり忘れてたなんて言えない。


全くべつの人に話しかけているのかと。



「佐久が良かったの? あれ、男装の時だけだと思ってたんだけど」



声を潜めて紡がれた言葉にああ、と一人納得する。


今の格好で佐久はおかしいか。いや、そうでもないのかな?


わかんない。



「で、話を戻すけど」

「は、はい」

「なんでそんな格好してるの?」

「なんで、ですか」



なんでと言われましても……。



「仕事、です」



これ以外に答えある?


いや、ないよ。




「観察の仕事ってことか。でもあの辺りは……」



そう呟いたところで何かに気がついたように息を飲み、私を睨む。


ひぃぃっ。


その目つきは怖すぎます!



「山崎さんが土方さんを通さないはずがないから、土方さんが許可したのか……」

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