浅葱の桜
「グッ!?」
苦しげな声を漏らして私の上に覆い被さってきた。
は? は?
急所を押さえてうずくまる枡屋。どうやら暴れている最中に急所を蹴り上げてしまったらしい。
ついには気を失った枡屋を横目に、手紙の中から一つを抜き出すと懐に入れた。
畳に押し倒されたせいで折角結ってもらった髪はぐちゃぐちゃ。
襟元も開いてなんともあられもない姿だ。
こんな中街中を歩くなんて、とは思うが早く帰らないといけないし。
適当に整えてから、私ははしたないと思いつつ、着物の裾を持ち上げ。
全力疾走で走った。