浅葱の桜
「これは何ですか?」
机の上に散乱する手紙。
「ああ、これ? 内緒だよ」
「き、気になります」
長州と繋がっている証拠かもしれないし。
「お、教えていただけませんか?」
座の芸者さんがやっていたように少し上目遣いで目を潤ませる。
「お願いしま」
口に触れる何か。
生暖かくて、湿っていて、ザラザラしてる。
しばらくして、その触れていたものが枡屋の唇だとわかって。
「〜〜〜〜〜っ」
言葉にならない悲鳴をあげた。
「仕方ないなぁ〜君にだけ、だよ」
口づけしたのがさも当然かのように接する枡屋。
「これはね、長州と交わしてる密書なんだ」
「あなたは、尊皇攘夷の志をお持ちなのですか?」
「……そう、だね。君もかい?」
問いかけられた言葉に首だけ振った。
「み、密書の内容は、なんですか?」
「それは……流石に教えられないかな?」
ニヤリ、と笑んだ彼は。
「君の秘密も教えてくれたら、考えるけど」
秘密、ということに身構えるも、全くの見当違いなことを思い知らされる。
いきなり畳に押し倒されたのだ。
「やっ」
「いや、なんて言わせないよ? 一度襲われかけたのに、また戻ってきたんだ。
本当は君もしたかったんじゃないのか?」
そんな訳あるか! と叫ぶ訳にもいかず。
首筋にかかる吐息が恐ろしい。
荒い息遣い、いやらしく体に触れる手つき、そのどれをとっても吐きそうだ。
ジタバタ暴れていると。