浅葱の桜
意を決して入ろうとしたその時。
「て、テメッ。なんでテメェがここに居るんだ。佐久!」
「ひ、土方さん!?」
な、なんでここに……。
場所も構わず説教されそうな雰囲気に思わず後ずさる。
「すいませんッ! 折檻なら後で甘んじて受け入れますから!」
「おい、こらッ!」
土方さんの叫び声を聞きながら私は池田屋の中に入る。
入った瞬間、その場所はむさ苦しい血の匂いに溢れかえっている。
新撰組の羽織を着た人たちと、そうでない人たち。
この中で私、敵に間違われないか?
案の定。
「ウリャァアアっ!」
新撰組の隊士の声が横から聞こえてきた。
うわっ。これ、結構危険!
持ち前というか新撰組生活で磨かれた瞬発力と反射神経を使って刀を避ける。
「ととと、藤堂さん! 私です! 桜庭です!」