浅葱の桜
その声で目をぱちくりさせた藤堂さんは暫くその場で呆然としていた。
私たちの居る場所だけ喧騒から遠のいたように錯覚した直後。
「ッ! 藤堂さんッ!」
振り向き様切りかかられていた藤堂さんの襟首を引っ張る。
「大丈夫ですか、藤堂さ––––」
息が詰まる。
「くっそ、しくじっちまった……」
「そ、そんな事言ってる場合じゃ!」
藤堂さんはずれた鉢金の所為で額が割れていた。
わ、私の所為で……。
ドクドクと溢れる血に私は髪紐を解いて止血しようとするも止まってくれる気配はない。
どうすればいいの。
「新撰組、死ね!」
!
ぱっと、紅い華が咲き乱れる。