浅葱の桜
「あ、貴方は私の父を知っているの……?」
私にすら分からない、誰も知らなかったというのに?
ハッタリだと、思いたかった。でも、返ってきた答えはそう上手くはいかなくて。
「ええ、もちろん。今でもよく会っていますしね」
その言葉に嘘は感じられない。それに、今でもあっているということはまだ生きている……?
「付いて来て頂けますか?」
笑みを貼り付けた顔の向こうに沖田さんの姿が見える。
「……もし、お誘いを断ったら?」
「そうですね。此処に居る全員、殺しましょうか」
「……」
悪い冗談、と笑い飛ばせないあたりが恐ろしい。ただの間でしかないけど、この人ならやりかねない。
全員、という言葉に思い浮かんだのは新撰組の皆だ。
この場には私の大切な人が沢山居る。
その人たちを殺させる訳には……いかないよね。
血で汚れたままの手に自分の手を重ねようとして––––。