その結婚、ちょっと待った!
「大丈夫か?」
私はまだ恐怖で体が震えていた。
言葉が出ずに私は頷くしか出来なかった。
するとそんな私をみた大和はいきなり私を抱きしめた。
「怖かったろ?もう大丈夫だ…」
すると不思議と体の震えが止まり、次は涙が溢れてきた。
泣いてる私の頭を優しく撫でてくれる大和。
そんな事されたら大和への気持が溢れそうになる。
暫くすると大和の体が私から離れた。
だけど私は離れたくなくて、大和の服をギュッと掴んだ。
「大丈夫だ!家まで送ってやるから…」
そう言って大和は私の手を繋ぎ、タクシーを捕まえてた。
大和の手の温もりはどれくらいぶりだろ…
だけど大和は真尋と式場に居たのに抜けだしたら真尋が心配しちゃうよね。
「ご、ごめんね?たまたま買い物の帰りに歩いてたら尊に会ってしまって…助けてくれてありがとう。式場の前だったしもしかして真尋と行ってたんじゃない?もう私は一人で大丈夫だから大和は真尋の所に行ってあげて!」
「でもお前…」
「私は大丈夫だから!本当にありがとう!」
そう言って私は大和から一刻も早く離れたくて急いでタクシーに乗り込んだ。
だってこのまま一緒に居たら大和への思いが全部溢れちゃうから…。
私はマンションに着くと床に座り込んだ。
「好きだよ大和ぉ…」
もうどんなに私が想っていても、大和と真尋は結婚してしまう。
届かないこの想いを吐き出すかのように私は泣いた。