『それは、大人の事情。』【完】

佑月にはそう言ったものの、私も何か引っ掛かるモノがあった。だって、専務の家から帰って来た真司さんは、あまり多くを語ろうとしなかったから……


「けど、あんなドライだった梢恵がこんなに情熱的になるなんて、女は男で変わるんだね~」

「よく言うよ。佑月だって、修を許したじゃない。アンタこそ情熱的だよ」


お互い嫌味を言って苦笑いする。すると佑月が「あ、そうだ」と手を叩き、バックから白い封筒を取り出した。それは、結婚式の招待状。


「ホントにいいの?」

「だからいいって言ってるでしょ? 絶対に出席するからね」

「ありがと……梢恵」


嬉しそうに笑う佑月の顔は幸せに満ちていた。以前の私なら、そんな佑月が羨ましいと思っただろう。でも今は、真司さんがいる。きっと近い将来、私もそんな風に笑える日が来るはずだ。


「それでね、梢恵にお願いがあって……」

「んっ? 何?」

「私と修、あんな事があってモメてたから結婚式までのスケジュール狂っちゃって……かなり押してるんだよね。ドレスも今週末までに決めて欲しいって式場から連絡があってさ~

で、週末にドレス選びに行く予定なんだけど、梢恵、一緒に行ってくれない?」

「えっ……私が? 修に行ってもらった方がいいんじゃない?」


でも、佑月は唇を尖らせ首を振る。


なんでも、修は明後日から一週間、香港に出張だそうで、ドレス選びには行けないそうだ。


「一人じゃ心細くて……ねっ? お願い。一緒に行って?」


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