『それは、大人の事情。』【完】
真司さんの予想外の言葉に、更に私の頭は混乱する。
私と別れないって、どういう事? まさか絵美さんとよりを戻した後もセフレとして付き合えとか?
「ごめん……私、もうセフレはイヤなの」
「セフレって、なんだそれ? いいか? 俺は梢恵といい加減な気持ちで付き合っていたんじゃないぞ」
「でも、最近の真司さん冷たかった。私の事全然見てくれてなかったし、抱いてもくれなかった。だから私、真司さんは絵美さんとよりを戻すものだとばかり……絵美さんから復縁を迫られていたんでしょ?」
私がそこまで知っているとは思わなかったのだろう。真司さんが驚いた表情を見せる。
「そうか、知ってたのか……確かに絵美からやり直そうと言われてた。沙織もそれを望んでいるって分かって、俺も辛かった。
でもな、絵美とはやり直せない。俺にはもう梢恵、お前が居るから……それを絵美に分かってもらうのに苦労していたんだ。」
「そうだった……の?」
真司さんが絵美さんより私を選んでくれたなんて……信じられない。
暫くの間、私と真司さんは言葉もなく見つめ合っていた。が、突然彼が横に来て、私の肩を抱く。
「毎日、どうやったら絵美に納得してもらえるか、そればかり考えていた。沙織の事もあったから邪険には出来ないしな」
苦悩に満ちた声―――真司さんも辛かったんだね。
それから彼は私の肩を抱いたまま、全てを話してくれた。