『それは、大人の事情。』【完】
―――白石蓮が言っていた通り、真司さんは沙織ちゃんを引き取りたくて、友人や弁護士に相談していたらしい。絵美さんや専務からは復縁を迫られ、正直うんざりしていたので、沙織ちゃんを引き取り、絵美さん達と縁を切りたいと思っていた。
そんな時、私と出会い同棲しようとしていたら、沙織ちゃんから一緒に暮らしたいと言われ、願ってもない事だと真司さんは喜んだ。そして、私が佑月のドレス選びで留守にした日、沙織ちゃんが動物園に行きたいと言い出し出掛けると……
なぜか動物園に絵美さんが居た。真司さんは絵美さんと行動を共にする気はなかったが、沙織ちゃんがママも一緒がいいと言うので、渋々三人で過ごしたそうだ。
そして、昼食を食べている時、絵美さんが「また三人で暮らしたいね」と言ったので、本当の気持ちを言おうとしたんだけど、沙織ちゃんが寂しそうな目で真司さんを見つめていたからつい「そうだな」と言ってしまったらしい。
その時、真司さんは気付いたそうだ。沙織ちゃんは絵美さんが嫌で自分の所に来たんじゃない。自分達の仲を取り持つ為に来たんだと。
沙織ちゃんがそこまでして絵美さんとの復縁を願っていると知り、真司さんは悩んだ。
「沙織のヤツ、俺と梢恵を別れさせようと、あの清掃会社の子と梢恵が関係あるみたいな事を言ってきてな。沙織なりに必死で考えた嘘だったんだろう」
「……嘘?」
嘘なんかじゃない。それは本当の話し。けど、真司さんは嘘だと思ったんだ。
「で、今日、絵美のマンションに行った時、沙織には申し訳ないが、やり直せないとハッキリ言おうとしたんだよ。でもな、俺がその事言う前に、沙織が……」