『それは、大人の事情。』【完】

「それなんだよ……ギャラリーが出来ても、蓮が写真を撮ってくれなかったら話しにならない。僕がカメラを買ってやっても受け取るかどうか……」


確かにあの子は強情なとこがあるから、一度辞めると決めたカメラを素直には受け取るとは思えない。


オーナーと二人、何かいい方法はないものかと頭を抱えていたら、オーナーの奥さんが洗い物しながらボソッと呟く。


「なら、梢恵ちゃんに渡してもらえばいいじゃない」

「えっ、私?」


するとオーナーまで「おぉ~それがいい!」って、大げさに手を叩く。


「蓮は梢恵ちゃんの事を慕ってるみたいだし、君からのプレゼントだって言えば受け取ってくれるかもしれないね!」

「さぁ~? ……それはどうだろう?」

「いやいや、明後日は丁度、蓮の誕生日だし、その時に梢恵ちゃんから誕生日プレゼントだって渡されたら蓮だって受け取ってくれるはず。

実はもうカメラは買ってあるんだよ。梢恵ちゃんに預けるからお願い出来ないかな?」


なんか妙な展開になってきた。彼と会うのをやめようかって思っていたのに、そんな約束しちゃったら何がなんでも会わなきゃいけなくなる。


でも、親切にしてくれてるオーナーの頼みを無下に断るのも気が引ける。


そんな調子だからキッパリ断れず、とうとうオーナーと奥さんに押し切られてしまった。


「でもこのカメラが入ってるケース、めっちゃデカくて重いんだけど……」

「うん、カメラ以外にも交換レンズとか、充電器とか、色々入ってるからね。全部でウン十万しちゃったよ」

「はぁ?ウン十万って……そんな高価なモノなの?」


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