『それは、大人の事情。』【完】
コース料理を全て食べ終え、食欲を満たした白石蓮が満足そうにワインを飲み、私を妖艶な眼差しで見つめている。きっと彼は、この後、私を抱くつもりなんだ。そろそろあの話しをしなきゃいけない。でも、その前に……
「二十歳の誕生日おめでとう。これは、私からのバースデープレゼントだよ」
足元にあったカメラケースを持ち上げ、彼の横に置く。
「えっ? 何これ?」
「開けてみて」
白石蓮がどんなリアクションを取るか……息を呑み彼を凝視する。すると、真新しいカメラを手に取り、無言で固まってる。
「受け取ってくれるよね? 君にはカメラの才能があるって、理央ちゃんもカフェのオーナーも皆言ってる。その才能を埋もれさせちゃダメだよ。私は君に、また写真撮って欲しいの」
身振り手振りで熱い気持ちを切々と訴え、我ながら最高の演技だと思った。けど、彼はカメラを静かにテーブルの上に置くと、冷めた表情でため息を漏らす。
「叔父さんでしょ?」
「えっ?」
「梢恵さんにこんな事頼むの叔父さんしかいないよ。昨日もギャラリーがなんとかって言ってたし」
「あ……オーナー、ギャラリーの話ししちゃったの?」
なんなのよ?あんなに白石蓮には秘密だなんて言ってたくせに、自分でバラしてたら世話ないよ。
「それに、このカメラ一式、四十万以上するんだよ。いくら梢恵さんが金持ちでも、俺にそこまでしてくれるとは思えないしね」
ほら、やっぱりそうじゃない。私がこんな高価なプレゼントするなんておかしいもの。