『それは、大人の事情。』【完】
「昼間でもこんなに綺麗なんだから、日の出は間違いなく綺麗だろうね」
「うん、どうやら明日も天気はいいみたいだし、きっと綺麗だよ。楽しみにしてて」
彼の言葉に頷き、再び景色に見とれていると、背後から白石蓮を呼ぶ声がした。どうやらこのホテルの支配人の様で、白石蓮の手を握り嬉しそうに笑ってる。
「連君、久しぶりだね。元気だった?」
「はい、ご無沙汰しちゃってすみません。今日からお世話になります」
暫くの間、二人は久しぶりの再会を喜び話しが弾んでいた。が、私の存在に気付いた支配人が焦った様子で頭を下げてくる。
「すみません、つい懐かしくて話し込んでしまいました……すぐお部屋の方にご案内します」
すると白石蓮が、部屋の場所は分かってるからと、支配人に部屋のキーを催促してる。そしてキーを受け取るとフロントの前に置きっぱなしになっていたキャリーバックを取りに行ってくれた。
その後ろ姿を眺めていた支配人が、目を細めてボソッと呟く。
「すっかりいい青年になって……私との約束忘れないでいてくれたんだな……」
「約束……ですか?」
無意識に出た独り言だったのだろう。支配人がばつが悪そうに苦笑いを浮かべる。
「二年ほど前になりますか……彼がこの町を出て行くって聞いて、私は連君に言ったんです。
君の故郷はここだから、本当に好きな女性が出来たらこの町を見せに戻っておいでて……そうしたら彼、元気よく『はい』って答えてました」
―――本当に、好きな……女性