『それは、大人の事情。』【完】
セフレが居た頃の私は、男達に求められれば欲望の赴くまま淫らな姿を晒してきた。それを恥ずかしいだなんて思った事もなかったし、むしろ見られている事が快感だった。
なのに、少し肌を露出すると聞いただけで、こんに動揺するなんて……
「恥ずかしい?」
「それは……」
「梢恵さんがイヤなら仕方ないな。無理強いはしたくないら他のパターンを考えてみるよ」
顔は笑っていたけど、彼が落胆してるのはハッキリ分かった。きっと、彼なりに思い描いたイメージがあったのだろう。そう思うと、自分の都合ばかり主張してる自分が情けなくなってきた。
そうだ。ここまで来て何を躊躇ってるの? なんの為に私はここに来たのよ? これが最後じゃない。この子の思い通りにしてあげなきゃ……こうやって一緒に居られるのも、後少しなんだから。
明日一日は何もかも忘れ、二人だけの思い出を作る。そして撮影が終わったら笑顔でさよならするんだ―――
「君に……全部任せる。言う通りにするよ」
「えっ……」
「その代わり、綺麗に撮ってね」
白石蓮の顔に笑顔が溢れ、陰りの見えた瞳は生き生きと光を取り戻していた。そんな姿を見て、これで良かったんだと自分を納得させる。
「ホントにいいの?」
「うん、もう我がまま言わないから。オーナーが驚く様な素敵な作品にしようね」
「……梢恵さん、有難う」
心なしか、彼の目が潤んでいる様に見えた。
この子が喜んでくれるならなんでもしてあげたい。それが私の大切な思い出になるんだから……