『それは、大人の事情。』【完】
イヤだ。これで終わりだなんて、絶対にイヤ……
この撮影が終わったら笑ってさよならするつもりだったのに、もうダメ……自分の気持ちを抑える事が出来ない。
白石蓮の頬を撫で「まだ終わってないよ」と囁くと、彼の体を抱き、そのまま体重をかけベットに押し倒す。
「梢恵……さん?」
それは、白石蓮にとって予想外の展開。大きく目を見開き戸惑いの表情を見せる。が、そんな事など気にせず、声を荒げた。
「お願い。君の本当の気持ちを聞かせて?」
「俺の本当の気持ちって?」
「だから、今私の事どう思ってるのか……本当の気持ちを教えて欲しいの」
すると白石蓮の表情が急に険しくなる。
「それを聞いて、どうするの?」
「どうするって……知りたいのよ」
「知ってどうするの? 俺の気持ちなんて知っても意味ないでしょ? 梢恵さんは部長さんと結婚するんだから。それとも何? 俺がまだ梢恵さんを好きだって言ったらセフレにでもしてくれるの?」
「えっ……」
「悪いけど俺、そういうのごめんだから」
彼の言葉が鋭いナイフの様に私の胸に突き刺さり、息が出来ないほどの激しい痛みを感じた。
やっぱり、もう私の事なんて好きじゃないんだね。予想はしていたけど、こうもハッキリ言われたらさすがにショックだ……
白石蓮の肩を押さえ付けていた手から力が抜け、ベットに滑り落ちる。
「……ごめん。変な事言って。そうだよね。今更そんな事聞かれても困るよね」
そう言うと体を起こし、彼に背を向けた。