『それは、大人の事情。』【完】
「えっ?私が……セフレ?」
この時、初めて佑月が私と修の仲を疑っていたんだという事に気付いた。
「おかしいと思ってたんだよ。修が浮気して帰って来た次の日、梢恵は前の日と同じスーツで出勤してた。あの夜、アンタ達は一緒だったんでしょ?」
……佑月は大きな勘違いをしてる。
慌てて否定するが、興奮した佑月は話しを聞こうとしない。狂った様に泣きじゃくり、私に掴み掛かってくる。
そんな佑月を止めようと修が私達の間に割って入るが、どうやらそれは、火に油を注ぐ形になってしまった様で、佑月の怒りは更に増し、会議室は完全に修羅場と化す。
でも、なんか変だ。そんな漠然とした理由だけで、どうして私と修の関係を疑ったの?
「嘘付かないでよ!あの夜、修の体に纏わり付いていた香りは、ランバン。梢恵がいつも付けてる香水と同じだった……」
「同じ……香水?」
「そう、私は今まで梢恵を親友だと思ってたけど、梢恵はそうは思ってなかったんだ。そう思ってたら、私の一番大切な人を奪ったりしないもの。
それとも何?セフレだからいいと思ったの?お遊びだから構わないとでも?」
「違う……」
「何が違うの?今、アンタ達は抱き合っていたじゃない!それが何よりの証拠だよ!」
そうだよね。確かに修は私を抱き締めてた。佑月に誤解されても仕方ない。でも、私と修が今現在、セフレの関係じゃないという事だけは、どうしても分かって欲したかった。
だって、私と修は、二年前に完全に終ってるんだもの。今は、親友の佑月を裏切ってない。