『それは、大人の事情。』【完】
近所のスーパーに行く道すがら、あのカフェに電話してオーナーに白石蓮の携帯番号を聞く。オーナーは少し戸惑っている様だったが、すんなり番号を教えてくれた。
すぐに白石蓮に電話したんだけど、知らない番号からの電話だからか、なかなか出てくれない。
もう~早く出てよ!
苛立つ気持ちを必死で抑えコール音を鳴らす事十数回。やっと白石蓮が電話に出た。
「もしもし、私、梢恵だけど。君に聞きたい事があるの」
『えっ?梢恵さん?マジ?どうして?』
疑問符だらけの彼の反応を無視し、真司さんと何を話したか聞くと、真司さんが言っていた通りの事を言っている。
「自分の彼女があのマンションに住んでるって言ったんだよね?私の事は聞かれなかった?」
『うぅん、梢恵さんの事は何も……車に乗ってた女の子を娘だって紹介されたくらいだよ』
「そう……ならいい。有難う」
聞きたい事が聞けて満足した私は一方的に電話を切ろうとした。すると、耳から離したスマホから白石蓮のか細い声が聞こえてきた。
『梢恵さん、俺があの部長さんに余計な事を言ったんじゃないかって疑ってたんだ……』
「あ、別にそんなんじゃ……」
慌てて否定したけど、その通りだった。私は彼を疑っていた。
『俺、梢恵さんにそんな風に思われてたんだね?』
「あ……」
『言っとくけど、俺、そこまで根性悪くないから……』
私はまた、自分の事しか考えてなかった……
『そんな卑怯なマネして、部長さんから梢恵さんを奪おうなんて思ってないよ』