あの頃のように笑いあえたら
新幹線独特の緩やかな揺れに、いつの間にかウトウトしてしまっていたようだ。

耳のイヤホンからも、もう何も聴こえてこない。

目を開け外を見ると、うっすらと雪が積もっていた。

やっぱり寒そうだな……暖かい支度をしてきてよかった。

もうすぐ長野へ着く。

源がいる、長野に。

一昨日会ったばかりなのに、もうこんなにも恋しい。

早いはずの新幹線が、もどかしく感じてしまうほどに。

ママには内緒にしているけれど、真子と咲苗にだけはここへ来ることを話している。

珍しく行動力のある私にビックリしていたが、2人とも笑顔で背中を押してくれ、必ず連絡して!としつこいくらいに念を押された。

私のことを気にかけてくれるのは、すごく嬉しいし力になる。

私1人では、ここまでこられなかっただろう。

悩んだけれど、後悔はない。

ーー 大丈夫。

何度も何度も、そう自分に言い聞かせる。

長野へ到着するというアナウンスを聞き、荷物を持ち1人出口へと向かう。
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