あの頃のように笑いあえたら
木々の間を走る源の後ろ姿を見送る。

ーー 本当に、会えた。

もう、それだけで胸がいっぱいになってしまっていた。

何から話そう、どう伝えよう。
たくさん、たくさん考えたのに。

薄っすらと積もる雪のように、頭の中が真っ白だ。

さっきまで少し怖いと感じていたこの静けさだが、今は心地よく騒つく胸を落ち着かせてくれる。

大きく深く息を吸う。

大丈夫、源なら分かってくれる。

気持ちさえ伝えられればそれでいい。

もう一度深呼吸をしたところで、源が戻って来た。

「おまたせ」

急いでくれたのだろう、少し息を切らしている。

「ありがとう……」

暖かいミルクティーを受け取り、冷たくなった手を温める。

源は、いつものカフェオレ。

心も、体も暖かくなる優しい甘さ。

暫く黙って景色を眺めていた2人、沈黙を破ったのは源だった。
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