あの頃のように笑いあえたら
また、少しの沈黙。鳥のさえずりが聞こえてくる。

不思議だな……源と2人の時の沈黙は、全然苦じゃない。

「……ごめんね、こんな所まで来ちゃって」

今度は、私が沈黙を破る。

「いや、もしかしたら来るかもなって思ってたよ。むしろ来てくれて嬉しいよ」

素直な源に、胸がキュンとなる。

いろんな感情が、もう目から涙となって溢れ出てきそうだった。

まだ、ダメ。まだ、何も伝えてない。

あんなに、あんなに考えてたのに言葉が出て来ない。

源が、好き。ただ、それだけなのに。

今度は沈黙が、辛い。

胸の鼓動が、手を伸ばせば触れられる距離にいる源に伝わりそうだった。

「……あっち、座ろうか」

すぐ横にある、倒れた大木を指差す源。

「え?うん」

素直に、バッグを手に取り移動する。

大木に腰掛けると、フワリと源の匂いがした。

ーーああ、そうか。

こっちの方が、源と近いんだ。

切り株と切り株との距離が、もどかしかったんだ。

ーー源ーー
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