あの頃のように笑いあえたら
おばあちゃんと何度か来たことのあるそのおそば屋さんは、タイムスリップしたかのように何も変わっていなかった。

ちょっとギシギシ鳴る椅子に向かい合って座る。

昼時は過ぎているからか、店内にお客さんらしき姿はなかったけれど。

若い2人が珍しいのか、やたらニコニコした定員のおばちゃんが注文した品物を運んできた。

そして私たちは、暖かいおそばを食べながらたくさん話をした。

幼い、あの日のお互いの気持ち。
パパのこと、源のお母さんのこと。
私たちが高校で再会してからのこと。
モデルの仕事への、今の気持ち。
たくさん、たくさん。

それは食べ終わって、おそば屋さんを出てからもずっと続いていた。

寒い中2人は、今度は当たり前のようにどちらからともなく自然に手を繋いで歩いていた。

こんなふうに、2人でご飯を食べたり並んで歩いたり。

こんな日が、ほんとうに来るなんて……。

「夢、みたい」

思わず口に出る。

「……だな」

同じ想いの君が、隣りで笑っている。

ーー ねぇ、パパ

気持ちが通じ合うって、こんなに幸せであったかいんだね。
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