あの頃のように笑いあえたら
池に着くと、私はあの小さい方の切り株に腰をおろす。

「寒くないようにしとけよ」

シャッターを切る手を止めずに源は言う。

「うん」

もうその優しさだけで全身が暖まるのを感じていたが、私は持ってきていたニット帽をかぶりブランケットを羽織る。

「源は、カメラマンになりたいの?サッカー選手?」

好きな事が2つもあるなんて、羨ましい。

「え?そんなの考えたことないな。どっちもまだまだだし……」

私の、何気ない質問にもきちんと考えて答えてくれる。

「いとなは?」

「……え?わたし?」

源は私の隣り、大きい方の切り株に座って撮った写真のチェックを始める。

源の写真は、1枚1枚がとても丁寧で暖かくて。

ああ、源らしいな、なんて私は思う。

そんな私は、パパが亡くなった時に失声症になった話をする。
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