柴犬~相澤くんの物語り
高宮さんのところに戻り

 「親切なおばさんがくれた!」

 袋を見せて報告だ。

おれの姿を目にするなり彼が駆け寄ってきて

 「大丈夫? ヒドい事されませんでしたか?」

 頭や背中を見て回る。
それからおばさんにもらった袋を覗き込んだ。

 「うわぁ…す、すごいじゃないですかぁ……」

 「昨日は助けてくれたし親切なおばさんだ。あっ、でも人は疑ってかかるのが野良犬の掟だからな。おれがさきに一口食って大丈夫か確かめてやる」

 「あ、相澤くぅん、気をつけて下さいね。変な味がしたらすぐにペッして下さいよ」

 高宮さんが心配そうにおれの周りをウロウロしている。

「うっっ!」

 「あいざわくん、どうしたんですか? 毒?あぁ、どうすれば……は、早くペッして下さい! た、大変だぁ」

 「く、苦しい、喉につまった」

「あぁ、相澤君! どっどうすれば……」

 「背中とんとんして」

 「ハイ、こうですか?」

 「うん……」


 高宮さんがおれの背中を前足でトントン叩く。
しばらくとんとんしてもらったらなおった。


 「もう大丈夫だ。苦しかったけど毒は入ってない。さあ、食おう」

 「これからは私が毒味しますね。あぁ、そんなにガツガツ食べるとまた喉つまりますよ。私よりしっかりしてるかと思ったら子供っぽいし……本当にカワイイですねえ」



 高宮さんが目を細め笑った。

  
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