柴犬~相澤くんの物語り
一見、平和で楽しい時間が流れていた。

 でも次第におれは、あることが気になって仕方なくなってきたんだ……。


 高宮さんは毎日、自分の毛をブラッシングする。
ブラシを口でくわえて一生懸命といている。
届かないところはおれが手伝ってやる。
凍え死ぬからやめろと言っても時々川の水に浸かってシャンプーもする。


それでも、あんなに大切にしていた彼の毛並みは、だんだん薄汚れてきてブラシが通らなくなって、ところどころ泥が張りついていた。
 
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