柴犬~相澤くんの物語り
全速力で走っていると、繁華街のはずれの道端にしょんぼりとうずくまっている彼を見つけた。
「高宮さん…?」
「……相澤君、すみません…中華料理店に行ったんですが、お店真っ暗で。何度か裏口のドアをひっかいたりクンクン鳴いて呼んでみたりして待ってみたんですが誰も出て来てくれませんでした……」
「ごめん、今日、あの店休みだって言い忘れたおれが悪かったんだ。ちょっとそこで待ってろ」
おれは繁華街に出向くと、めぼしい店を探し食料を漁った。
いつもより少し…二匹で分けるとほんの数口にしかならない量だったけど、急いで高宮さんの元に持ち帰った。
「食えよ」
彼に差し出すと
「いえ、これは相澤君が食べて下さい。で、早く元気になって下さいね」
シッポをフリフリ、ニッコリ笑う。
「ちゃんと半分こ。今までずっとそうやってきたんだ。ほんとは体の大きいあんたのほうがたくさん食わなきゃいけないんだけどな」
そう言って、おれは自分の分を食べた。
「これは、あんたの分だ」
「……すみません…」
高宮さんは、うなだれたままおれの用意した食料を口に運んだ。
「高宮さん…?」
「……相澤君、すみません…中華料理店に行ったんですが、お店真っ暗で。何度か裏口のドアをひっかいたりクンクン鳴いて呼んでみたりして待ってみたんですが誰も出て来てくれませんでした……」
「ごめん、今日、あの店休みだって言い忘れたおれが悪かったんだ。ちょっとそこで待ってろ」
おれは繁華街に出向くと、めぼしい店を探し食料を漁った。
いつもより少し…二匹で分けるとほんの数口にしかならない量だったけど、急いで高宮さんの元に持ち帰った。
「食えよ」
彼に差し出すと
「いえ、これは相澤君が食べて下さい。で、早く元気になって下さいね」
シッポをフリフリ、ニッコリ笑う。
「ちゃんと半分こ。今までずっとそうやってきたんだ。ほんとは体の大きいあんたのほうがたくさん食わなきゃいけないんだけどな」
そう言って、おれは自分の分を食べた。
「これは、あんたの分だ」
「……すみません…」
高宮さんは、うなだれたままおれの用意した食料を口に運んだ。